衆院選は「27日公示、2月8日投開票」の日程で行う。首相は会見で、「高市早苗が首相で良いのかどうか、主権者たる国民に決めていただく」と述べ、自民、日本維新の会両党による連立政権合意書に盛り込んだ政策などについて信を問う考えを示した。
産経は「高市新首相の登板と自民、日本維新の会の新しい連立が生まれた以上、首相が解散総選挙で国民の信を問い、政策推進力を得ようとするのは当然だ」とし、「解散の大義名分は十分ある」と強調した。
読売も「政権基盤を安定させて物価高対策や防衛力の強化策を進めたい、という高市首相の思いが伝わる解散宣言である」と理解を示した。
ただ、通常国会が1月召集となった平成4年以降、1月解散は例がない。解散で令和8年度予算案の年度内成立が難しくなることは確かだ。
このため、朝日は「確実視されていた新年度当初予算案の年度内成立を難しくしてまで、なぜ今なのか。納得できる説明とは言えない。国民生活より自らの権力基盤の強化を優先した『自分ファースト解散』というほかない」と指弾した。
毎日も「政策実現に集中するとしてきた前言を翻し、政治空白を作ることになる。弊害を押して衆院選を行う大義は見えない」と批判。東京は「自維連立はいずれ国民の審判を受ける必要があるとしても、冒頭解散は経済最優先の姿勢と矛盾する」と論難した。
日経は「高校無償化や車購入税廃止といった政策は4月から実施する予定になっていた。3月末までに法的な裏付けを取り付ける必要がある。国民生活や企業活動への影響を最小限に抑えるよう全力を尽くさなければならない」と訴えた。
衆院解散は、憲法7条で「内閣の助言と承認」を受けた天皇の国事行為と定めている。実質的には首相が判断するため「首相の専権事項」とされる。朝日、日経、東京は首相の解散権のあり方にも言及した。
日経は「政治は権力を争うもので、いつ選挙をするのが有利かの判断力は政治指導者の重要な資質の一つだ」としながらも、「だからといって、首相が選挙に勝てるという理由だけで解散していいわけではない。解散権を制約すべきかは与野党の論議で深掘りしていくべきテーマになる」と問題提起した。朝日も「解散権のあり方も、衆院選で議論してもらいたい」と要望した。
野党の意表を突く形で、通常国会冒頭での解散に踏み切る高市首相の戦略は、政界再編を促すことになった。野党第一党の立憲民主党と、自民との連立を解消した公明党による新党「中道改革連合」である。「中道勢力の結集」をアピールすることで、保守的な政策を掲げる高市政権に対抗するという。
だが、もともと両党間では安全保障や憲法改正、原発などの基本政策には隔たりがあった。立民は安保関連法の違憲部分廃止を訴えてきたが、新党は「合憲」との立場をとるなど急ごしらえ感は否めない。
衆院選は、解散翌日から投開票まで16日間という短期決戦となるが、経済や外交、安全保障など、今後の日本の針路を決めるうえで争点にすべき課題は多い。われわれ有権者も各党の公約の実現性や本気度を見極めることが求められている。(高橋俊一)
■衆院解散をめぐる主な社説
【産経】
・政策推進力得る選択肢だ(11日付)
・短期決戦で国民の信問え(15日付)
・審判を仰ぐ意義は大きい(20日付)
【朝日】
・国民生活より党利党略(12日付)
・後回しの不安に説明を(16日付)
・国民より首相の「自己都合」優先(20日付)
【毎日】
・国民置き去りの党利党略(14日付)
・大義欠いた権力の乱用だ(16日付)
・独りよがりにしか見えぬ(20日付)
【読売】
・安定した基盤を確保できるか(15日付)
・政策推進の体制整えられるか(20日付)
【日経】
・首相は早期の衆院解散で何を問うのか(13日付)
・大義みえない高市首相の衆院解散(20日付)
【東京】
・暮らし顧みぬ党利党略(14日付)
・大義なき権力の乱用だ(20日付)
