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漢詩・詩吟へ散歩しましょう


.. 偶成  <松平春嶽>  ぐうせい  <まつだいらしゅんがく> 

眼に見る年年 開化の新たなるを   才を研き智を磨き 競うて身を謀る
翻って愁う習俗の 浮薄に流るるを   能く忠誠を守るは 幾人か有る
 めにみるねんねん かいかのあらたなるを    さいをみがきちをみがき きそうてみをはかる
 ひるがえってうれうしゅうぞくの ふはくにながるるを    よくちゅうせいをまもるは いくにんかある

西欧文明が流入して世の中は開化に向かって進んでいる。人々は競って技術や知識を学び立身出世を図っている。 昔は天下のために学んだのであるが、今は軽薄に流れていて愁うべきことである。こういう時期に天下国家のために志を果たしている人はどれ位いるだろうか。それを思うとさびしいことである。

松平春嶽 1828−1890
  幕末の福井藩主。名は慶永(よしなが)、号は春嶽。文政11年田安(たやす)家に生まれる。ペリー浦賀来航を期に富国強兵と藩政改革に着手、橋本左内を登用し推進させた。安政の大獄に連坐して大老井伊直弼に隠居謹慎を命ぜられたが桜田門外の変後、解かれ幕府政治総裁職となり、幕政の改革をはかり、公武合体を推進した。大政奉還の際には将軍慶喜に返還をすすめ断行させた。新政府に迎えられて議定となる。明治23年6月病没、年63。


川中島  <ョ 山陽> .. 川中島  <ョ 山陽>かわなかじま  (らい さんよう) 
鞭聲肅肅夜河を過る、 曉に見る千兵の大牙を擁するを、 遺恨なり十年一劍を磨き、 流星光底長蛇を逸す
べんせいしゅくしゅく よるかわをわたる 、 あかつきにみる せんぺいの たいがをようするを 、 いこんなり じゅうねん いっけんをみがき 、 りゅうせいこうてい ちょうだをいっす 、

上杉謙信の軍はむちの音もたてないように静かに夜に乗じて川を渡った。明け方、武田方は、上杉の数千の大軍が大将の旗を立てて、突然面前に現れたのを見て驚いた。 しかし、まことに残念なことには、この十年来、一剣を磨きに磨いてきたのに、打ち下ろす刃がキラツと光る一瞬のうちに、あの憎い信玄を打ちもらしてしまった。 不識庵は上杉謙信、機山は武田信玄である。

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山中問答   (李 白) .. 山中問答   (李 白)さんちゅうもんどう  (りはく) 
余に問う何の意ぞ 碧山に栖むと、笑って答えず 心自ずから閑なり、桃花流水 杳然として去り、別に天地の 人間に非ざる有り
よにとうなんのいぞ へきざんにすむと、わらってこたえず こころおのずからかんなり、とうかりゅうすい ようぜんとしてさり、べつにてんちの じんかんにあらざるあり

誰かが私に、君はどういうわけでこんなみどり深い山に棲んでいるのかと尋ねる。そんな質問に私は笑っているだけだ。 そんな俗人の問いかけにはおかまいなくのどかな気持ちである。 桃の花びらが水に浮かんで、はるかに奥深いところに流れてゆく。ここには人間世界とはちがった別天地があるのだ。


月落烏啼霜滿天 .. 楓橋夜泊  (張 継)ふうきょうやはく  (ちょう けい)
月落ち烏啼いて霜天に滿つ、江楓漁火愁眠に對す、姑蘇城外寒山寺、夜半の鐘聲客船に到る
つきおちからすないて しもてんにみつ、こうふうぎょか しゅうみんにたいす、こそじょうがい かんざんじ、やはんのしょうせい かくせんにいたる

月は冴えて水の面に映り、烏がないて、霜の気配が天に満ちている。 川岸のかえでの間には、いさり火が点々として、旅愁のためにうつらうつらとして眠れない私の目にうつる。 そんな折、姑蘇城外の寒山寺から打ち出す夜半を告げる鐘の音が、 私の乗っている旅の船にまで響いてきたのであった。
「蘇州(寒山寺):世界遺産に指定されている、502年に創建され世界遺産に指定された寒山寺は、蘇州から一里弱の楓橋の町にあります。唐の詩人、張継の詩「楓橋夜泊」はあまりにも有名」
船を終日貸切り、船の上からスケッチ,吟詠した当時が懐かしい。


春夜笛を聞く   (李 白 .. 春夜聞笛  (李 白)しゆんやふえをきく  (りはく)
誰が家の玉笛か暗に聲を飛ばす、散じて春風に入りて洛城に滿つ、此の夜曲中折柳を聞く、何人か起こさざらん故園の情を
たがいえの ぎょくてきか あんにこえを とばす、さんじて しゅんぷうにいりて らくじょうにみつ、このよ きょくちゅう せつりゆうをきく、なんびとか おこさざらん こえんのじょうを

誰の家で吹く玉笛であろうか、どこからともなく笛の音が聞こえてくる。 それは折からの春風にのって、洛陽の街いっぱいに満ち渡るようである。 こんな夜、曲の中に折楊柳の曲があったが、この曲を聞けば、 だれが故郷を恋い慕う思いを起さずにいられようか。

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静夜思   (李 白 .. 静夜思   (李 白)せいやし  (りはく)
牀前 月光を看る、疑うらくは是 地上の霜かと、頭を擧げて 山月を望み、頭を低れて 故クを思う
しょうぜん げっこうをみる、うたごうらくは これちじょうのしもかと、こうべをあげて さんげつをのぞみ、こうべをたれて こきょうをおもう

静かな夜、ふとねだいの前に、そそぐ月の光をみるとその白い輝きは、まるで地上におりた霜ではなかったのかと 思ったほどであった。そして、頭をあげて山の端(は)にある月をみて、その月の光であったと知り、眺めているうちに故郷のことを思 い、うなだれて感慨(かんがい)にふけるのである。

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偶成    (朱 熹 .. 偶成    (朱 熹)ぐうせい     (しゅき)
少年老い易く學成り難し、一寸の光陰輕んず可からず、未だ覺めず池塘春草の夢、階前の梧葉已に秋聲
しょうねんおいやすく がくなりがたし、いっすんのこういん かろんずべからず、いまださめず ちとうしゅんそうのゆめ、かいぜんのごよう すでにしゅうせい

若者は年をとり易く、学問はなかなか完成しにくい。だから少しの時間でも軽々しくしてはならない。さて、池の堤の若草の上でまどろんだ春の日の夢がまだ覚めないうちに、庭先の青桐の葉には、もう秋の声が聞かれるように、月日は速やかに過ぎ去ってしまうのである。

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春眠不覺曉 .. 春 曉   (孟浩然)しゅんぎょう  (もうこうねん)
春眠 曉を覺えず、處處 啼鳥を聞く、夜來 風雨の聲、花落つること 知んぬ多少ぞ
しゅんみん あかつきをおぼえず、しょしょ ていちょうをきく、やらい ふううのこえ、はなおつること しんぬたしょうぞ

春の暁は気候も暖かく、心地よい眠りに夜が明けたのも知らず寝すごしてしまったが、ふと眼を さませばあちこちで小鳥の啼く声がきこえる。そういえば、昨夜は風雨の音がはげしかった。あの嵐で庭の花はさぞたくさん散ったことだろう。


>渭城朝雨潤軽塵 .. 送元二  (王 維)げんにをおくる  (おうい)
渭城の朝雨軽塵をうるおす、客舎青青柳色新たなり、君に勧む更に尽せ一杯の酒、西のかた陽関を出ずれば故人無からん
いじょうのちょうう けいじんを うるおす、かくしゃ せいせい りゅうしょく あらたなり、きみにすすむ さらにつくせ いっぱいのさけ、にしのかた ようかんをいずれば こじんなからん

渭城の朝の雨は軽い土ぼこりをしっとりとぬらし、旅館の前の柳は雨に洗われて青々として、ひときわあざやかである。 さて、君はこれから遠く安西に使いするために旅立つのであるが、さあ、もう一杯飲み干したまえ。西のかた陽関を出てしまったなら 、もはや君に酒を勧めてくれる友人もいないであろうから。その後、陽関三畳の詩として送別にはこの詩を吟じることが例となった。

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.. 結婚祝いの詩  (木村岳風 )けっこんいわいのうた  (きむらがくふう)
良縁成立して 神明に誓い 結び得たり 偕老同穴のちぎり 親戚朋友 心をこめて祝ひ 又 祈る 隆々たる 家運の栄を 相励まし 相たすけて 苦楽を共にし  忘るる勿れ この日 この時の情
りょうえんせいりつしてしんめいにちかい むすびえたりかいろうどうけつのちぎり しんせきほうゆうこころをこめていわい またいのるりゅうりゅうたるかうんのさかえを あいはげましあいたすけてくらくをともにし わするるなかれこのひこのときのじょう

良い縁談が成立して 神明に誓いを立て 共に白髪の生えるまでと夫婦の約束を固く結ばれたことは真におめでたい。親戚や親しい友達は 心からこの結婚を祝うと同時に 又新家庭の家運が隆々と栄えるよう祈っている。新郎新婦よ 願わくは 今日のお二人の温かい契りの心を忘れずに 一生涯を互いに助け合い励ましあって 幾久しく栄えられんことを。

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