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まさかとは思うが「ソフトバンク・ショック」はありえるのか?

6/14(金) 6:31配信 代ビジネス まさかとは思うが「ソフトバンク・ショック」はありえるのか 日本株は長期的には上昇を続けるであろうが  筆者は、これまで、日本の株式の将来については、当サイト2018年10月6日の記事「今後4半世紀の間に日経平均株価は10万円に達することができる」、今年5月26日の記事「『この先、日本では不動産を買うな株を買え』といえるこれだけの理由」などで述べたが、長期的に強気の見通しを崩していない。 5年後、10年後に「生き残る会社・消えそうな会社」結果一覧 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/48649?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=link&utm_content=related&page=4 検索  また、米中貿易戦争=「第2次冷戦」の結果いかんによっては、短期的波乱も見込まれるが、5月29日の記事「世界経済低迷の最大原因・中国が退場すればデフレが終わる」で述べたように、長い目で見れば共産主義中国などを原因とする世界的なデフレを収束させる良い結果になるはずである。  そもそも、現在の世界的な経済低迷の大きな原因は、2001年に中国のWTO加盟が認められたことにある。加盟申請そのものは、1986年に当時のGATTに対して行われたのだが、1989年6月4日の天安門事件などが起こり、共産主義中国を先進自由主義諸国の仲間に入れるべきかに関して、15年も議論が続いたのだ。  加盟後の中国は、フェイス・ブック、ツイッターなどをはじめとするSNSを排除するだけではなく、国内産業を政府の力で保護し、進出する外資系企業に対して先端技術の提供を強要した。それにもかかわらず、先進諸国においてファーウェイのような共産主義中国のフロントと米国から糾弾される企業を通じて不公正な行いをやりたい放題であったことを考えると、2001年の中国WTO加盟は完全な誤りであり、トランプ大統領が現在その誤りを是正するために孤軍奮闘しているといえる。  ただ、大きな改革・是正には痛みも伴う。そもそも、長期的に株価が上昇するといっても一本調子の右肩上がりではない。チャートで言えば、ジグザグな上下動を繰り返しながら上昇するのだ。  したがって、これからも短期的な急落は何回もあると考えられるが、現在、筆者が最も懸念しているのは「ソフトバンク・ショック」を原因とする急落である。
ITバブル崩壊前夜と同じ状況  筆者は、日本は素晴らしい国だと思っているが、過去株価に対していつも強気であったわけではない。例えば、1990年のバブル崩壊の直後に「日経平均8000円説」を唱えて周囲から馬鹿にされたが、20年近くの歳月を経て現実のものとなった。  ちなみに、当時を知らない読者のために申し上げれば、バブルの高値は4万円近くであり、崩壊した後も2万円の底値はなかなか割れなかった。  筆者の強気派への転向は2008年に、日経平均が8000円を割って、長期的にチャート(テクニカル)用語でいう「ダブルボトム=2番底」を形成してからである。  それ以来、某会合で毎回のように「ブル(強気)・ベア(弱気)」対決をしている友人がいる。  ベア(弱気派)のK氏は、自ら主宰する独立系のファンドで多数の企業を上場させた敏腕ベンチャーキャピタリストだが、先日珍しく意見が一致した。  「Kさん、ソフトバンクかなりやばくないですか? 何かあったら、株式市場全体に影響が出ると思うのですが……」  「僕もそう思って、空売りしたんです。珍しく意見が一致したね!」  これまでも述べたように、筆者自身はカラ売りをしないので、もしかしたらとんでもないチャンスを見逃しているのかもしれないが、続けてこんな話もしてくれた。  「米国IPOの総額がこの2年で2000億ドルを超えたんだよね。ITバブルが崩壊した2000年の2年前からの状況とまったく同じなのが不気味だね……」  ソフトバンクの10兆円規模のハイテク投資ファンド(ビジョンファンド)は、2大出資者がサウジアラビアとアブダビの政府系ファンドだが、そのうちサウジアラビアは、カショギ氏のサウジアラビア大使館での暗殺で国際的非難を浴び、先進自由主義諸国から厳しい目で見られている。  また、投資先のハイテク分野に関しても、K氏の述べるように、めぼしい企業はほぼすべて上場あるいは上場準備に入り、次に成長する「期待の星」が見つからないのは事実である。  もっとも、ソフトバンクは運営手数料などでがっぽり儲けるから、投資先が不振で出資者が大損してもかまわないのかもしれないが……。
いまは大ぶろしき企業が強烈な逆風を受ける局面  前述のベンチャーキャピタリストのK氏が成功できたのは、資金注入を求めるベンチャー企業に対して辛口だからである。徹底的にビジネスモデルを精査し、問題点があれば率直に指摘する。彼の厳しい目にかなった企業だけに投資をするから成功率が高いのだ。  実際、ベンチャーキャピタルに出資依頼をする起業家の多くの考えが甘いことは、筆者も以前ベンチャーキャピタルの運営に関わった時に痛感している。資金さえ集めればなんとかなると考え、投資家から集めた資金でポルシェなどの高級車を購入して乗りまわすこともある。成功する前に自分にご褒美をあげるというわけだ……  投資資金を集めやすい、ベンチャーバブルの時期には、このような企業も資金をなんとか調達しながら生き残ることも多い。  しかし、K氏が指摘するように、これからは資金を集めにくい時期に突入するし、K氏のソフトバンクに対する懸念の大きな原因もそこにある。  ソフトバンクは、前記のような甘い考えのベンチャーとは違うとは思うが、大量の資金を市場・金融機関から集め、リスクの高い事業(一種のばくちとも言える)に投資してきていることは、よく指摘されることである。  しかも、ここ1~2年は、がむしゃらに資金調達しているように思える。  例えば、現在の市場では「好ましくない」と評価される親子上場を強行し、しかも、大量の資金を調達(使う必要があるはず)しているにもかかわらず、投資家には5%水準の配当をするという、タコが自分の足を食べるような行為を行っている。合理的に考えれば、無配あるいは低率の配当にしたほうが、調達した資金を有効に使えるにもかかわらずである。  その他にも、アリババ株式の売却も含む資金調達は加速している。これまでも「大ぶろしきを広げて資金調達をしてきた」企業ではあるが、ここのところの一連の動きを見ていると「末期」に差し掛かっているように思える。どう考えても、資金繰りに窮した企業の最後のあがきである。  GAFAをはじめとするIT関連業界が頭打ちになり、棚から牡丹餅式の利益を得ることができなくなれば資金繰りに窮するのは当然だ。  借金だらけで、ばくちを打ってきても成功してきた企業の悪運の強さには驚かされるが、運の良さというのはいつまでも続くわけではない。
第2のファーウェイになるのか?  ZTEやファーウェイに対する態度を見れば、米国政府が本気で共産主義中国のIT産業(サイバー攻撃・工作活動を行っている)をたたきつぶすつもりであることは疑いの余地がない。  そしてその攻撃は、順次共産主義中国と密接な関係を持つ他の国や企業に対しても行われるであろうことも明白である。  日本のIT・通信関連企業でその筆頭にあげられるのがソフトバンクである。  創業者の孫正義氏は、これまでの経緯を見る限り、ビジネス上もっともつながりが深い国ののひとつが共産主義中国である。ただし、ビジョンファンドに中国と同じく深刻な人権問題を抱えるサウジアラビアからの出資を受け入れたことから、「金さえ出してくれればどんな国でもいい」のかもしれないが……。  6月4日には、保有するアリババ・グループ株式の一部を資金化。デリバティブ負債の取り崩しも含め、2020年3月期第1四半期に約1.2兆円を税引き前利益として計上する見込みだと発表している。  今回の取引決済後、ソフトバンクGと子会社が保有するアリババ株は6億7400万株となり、19年3月末現在のアリババの発行済み株式に対する比率は26%になるという。  アリババグループの総帥であるジャック・マー氏は2018年9月に、会長の職を2019年9月に退き張勇(ダニエル・チャン)CEOを後継に据えると表明しているが、筆者はこれが中国が鄧小平の改革・開放路線を終了させ「毛沢東暗黒時代」に回帰を始めた象徴的な出来事であると考えている。  マー氏は、2018年に中国共産党に入党していることが人民日報で報じられており、ソフトバンクグループの取締役を現在も務めている。  さらには、ソフトバンクが基地局にファーウェイ製品を導入しているとも報道されている。米国CIAは既にソフトバンクと共産主義中国の関係は調査済みであろうから、もしCIAが何か情報をつかんでいるのであれば、ファーウェイ問題にある程度の決着がつけば、次はソフトバンクに矛先が向くかもしれない。  トランプ大統領が訪日した際に「孫氏が駆け寄った」ということをニュースにするオールドメディアが多数あったが、そもそもこんなことをニュースにすること自体、メディアがソフトバンクにどれだけ忖度していることの証明である。  また、このような手法は怪しげな商人のゴマすりであり、トランプ氏は孫氏の顔さえ覚えていなかったかもしれないが、政治家として当然のごとく愛想を振り舞った。  大相撲観戦の帰り際に、「トランプ大統領の方から」わざわざ手を差し伸べて櫻井よしこ氏ら保守派の論客と握手をしたことを考えれば、孫氏の存在がトランプ氏にとってどれほど軽いものかが分かる。  それどころか、米国からのソフトバンクへの圧力は既に始まっているのかもしれない。  昨年来、菅義偉官房長官が「携帯電話料金は4割程度下げる余地がある」と繰り返し発言し、実際に料金が下がり始めているが、これもソフトバンクつぶしの一貫かもしれない。  そもそも、日本国の官房長官が民間の商品価格にこれほど具体的かつ強力に関与するのは異例である。何らかの隠れた意図があると考えるのが自然だが、この値下げで最もダメージを受けるのはソフトバンクである。  膨大な借金の返済に、携帯電話事業の収益が貢献しているのは明らかだし、他社も料金を値下げすればソフトバンクの価格面の優位性は無くなる。  かなりうがった見方だが、日本政府が異例の行動を起こすときには「米国政府への忖度」が理由であることが多いのは事実である。  首切り屋に過ぎないカルロス・ゴーン氏は、再建の神様としてもてはやされたが、「ゴーン事件」で奈落の底に突き落とされた。孫正義氏もIT起業家としてもてはやされた時代は終わり、「ソフトバンク・ショック」で梯子を外されて転落するのも時間の問題ではないだろうか?  大原 浩
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